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たまには抽象論も書きましょう。
われわれはねくらなので、よく自分たちを分析します。
その結果しばしば、西中さんと春木は、同じところを目指すが、経路がちがう、という結論にいたります。
たとえば歌詞のつくりかたがそうです。
ポップソングの歌詞にひんぱんに出てくる"love"という語があります。日本語で言うと、「好きや」、とか「愛すること」、「愛」とか「恋人」という意味になります。
春木はいままでに書いた数十という曲のなかで、loveという語は一度も用いていません。かたや西中さんは、多くの曲に用います。
春木がloveを用いないのは、その語のイメージに歌が染められることをおそれるからです。要は、自分の歌がラヴソングだとみなされるにとになんらかの抵抗があります。低俗だと思われるからというのが最初の理由だった気がしますが、いまや意地です。しかし、春木の歌たちはラヴソングでないかと言うとそうではなく、むしろ色恋沙汰をテーマにしているように思われる内容を持っています。しかし、ラヴソングだと確言できないようにつくってあります。いわば証拠不十分にて無罪獲得です。loveの一語さえあれば有罪確定ですが、どこにもみあたりません。
かたや西中さんは、loveを連発します。ところかまわずぶちまけます。あそこにも、ここにもloveがあらわれます。ゆえに西中さんのほとんどの曲はとりもなおさずラヴソングですが、あまりにloveにあふれすぎて、そしてさまざまな意味をもちすぎて、いちいち首ねっこをつかまえて、こいつがラヴソングだ、とひっぱりだすのもばからしくなります。ある歌に"I"という語があるからと言って、その歌が「アイ」ソングだとは言いません。それは、”I”がとるにたらないことばとみなされているからです。それと同じで、西中さんのラヴはとるにたりません。西中さんのラヴソングは、もはやたんなるソングです。有罪者(犯罪者)が有罪者であることの意味を確保するには、有罪者が無罪者よりすくないことが前提となります。もし有罪者が無罪者より多くなると、「有罪であることに対する罪の意識」がなくなるでしょう(むしろそのとき、「罪」の外延は反転し、無罪者が有罪者になるでしょう。)。つまりは、西中さんのラヴソングは、ラヴソングであるという特別さを失っており、ラヴソングでありながら、ラヴソングではありません。
春木は、loveに対してみなが抱くだろうあるイメージを前提としながら、かぎりなくloveを喚起する歌を、しかしloveを用いずに書きます。loveの外堀を限界まで埋めて、中央の空白にloveの座を用意しますが、空席のままにします。そこに座るのはloveだとみなわかっていますが、期待のひとはあらわれません。結果、loveに対する期待とフラストレイションだけがつもりつもって、歌の内容は、かえって(幻の)loveにあふれます。loveなきラヴソングの成立です。
西中さんは、loveを濫用し、かつloveにさまざまな意味を負わせたために、loveは行き場を失い、さまよい、疲れ果てて死にます。loveの意味作用を使い果たしたと言ってよいでしょう。そこには、中身のない、loveの抜け殻があるだけです。loveにあふれたノンラヴソングです。
はたしてみなは、春木の歌では、不毛に終わるloveの子を期待し続け、西中さんの歌では、loveの死骸に埋もれます。
春木はloveの姿を消すことでその存在感を極大化し、西中さんは、loveの姿を偏在させることで、その存在感をゼロにしたと言えるでしょう。
「昔はプロテストソングを歌っていたのに、どういうわけでラヴソングばかり歌うようになったのですか。もうプロテストソングは歌わないのですか。」
と、記者にきかれたボブディラン氏は言います。
「プロテストソングは、最高のラヴソングだ。」
http://jp.youtube.com/watch?v=sk9vcv3THvM
(春木)
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西中、春木、ふたりの自作自演歌手から成るロック・アンド・ロール・グループ。グループ名は、ラテン語のRecto Verso(おもて、うら)に由来。ひとをはっとさせる、かつ親しみやすいメロディをつむぎ、地域、時代にとら われず広く長く世に歌い継がれる歌をつくりだすことがヴィジョン。英語、フランス語、日本語でつづったオリジナルレパートリーは30曲、ストック曲は 120を越える。東京を中心に生演奏会を展開。楽器、録音器材にこだわりぬいた100%手づくりの音源もききもの。現在、岡田徹(ムーンライダーズ)のプ ロデュースのもと1stミニアルバム(2012年8月発売予定)を制作中。
使用録音マシン:Telefunken V72a 1960年代製、Telefunken V76 1960年代製、Telefunken U83 1950年代製、Microtech Gefell UM92S 1990年代製、Telefunken D19 BKHI 1960年代製、AKG B200 1960年代製、AKG D19CRCA 77DX 1940年代製、Neumann W444sta 1970年代製、Eckmiller W85
ヒストリィ:
2006年10月 西中と春木が出会う。
2007年1月 「Recto Berso」結成、および初めての生演奏会をする。
2007年3月 インターネットラジオ「噂のギグ」に出演する。
2007年6月 インターネットラジオ「噂のギグ」に出演する。
2007年11月 吉川忠英氏らとセッションする。屋敷豪太氏も同席。勉強する。
2007年12月 EMI主催オーディション 第1回Awake Sounds Audition 準優勝をおさめる。
2009年2月 ビーイング音楽振興会主催 2009BADオーディション最終選考通過
2009年3月 アルバム完成にむけて、録音をいっしょうけんめいにする。
2010年7月 アルバムのプリマスター版が完成する。
2010年10月 音密団により発掘、育成される。
2011年7月 BELAKISSのメンバー全員に、プリマスター盤を手渡す。